研究概要 |
青果物の内部品質と電気的諸性質との関係に注目し, 非破壊で測定できる高周波インピーダンスにより, 青果物の鮮度など内部品質の判定を試みた. 1.実時間で測定解析できる青果物の電気特性測定システムを試作し, 鮮度の異なる青果物を破壊及び非破壊で, 10Hz〜13MHzの範囲で測定した結果, 損傷や腐敗により青果物の電気特性は明かに変化し, 果肉部のインピーダンスと抵抗は著しく減少, 容量は1kHz以下で増大する等の傾向が見られた. 2.鮮度の異なるカキと二十世紀ナシにつして, 容量結合による非接触抵抗測定を試みた. その結果, 空隙の電気容量が一定となるよう上部電極位置を制御して直列等価抵抗を測定すれば, 青果物の大きさに大差がない場合, 鮮度・熟度・内部損傷等が非破壊・非接触でも測定判別しうることが分った. 3.青果物の電気特性による非破壊内部品質判定において最も困難な問題は電気的測定値が青果物の大きさや形状に左右される点にある. そこで複雑な形状を持つ青果物の内部品質判定にも適用でき, 大きさに関係なく簡単にその平均的性質が判別できる方法として, 青果物の電気特性を液体の電気特性値と比較して測定する方法を開発した. 例えば, しきい値に相当する抵抗率を持つ浸漬液中に青果物を沈めると, 電極間抵抗値の浸漬前後の増減から抵抗率による選別が可能である. 浸漬液として水道水を用い, リンゴにこの方法を用いた結果, 非破壊・非接触で鮮度等を測定判別しうることが分った. 4.青果物を丸ごと液体中に浸漬し電極間の電気特性を掃引測定すれば, 浸漬液と青果物が同じ電気特性を示す周波数(交点周波数)が存在する. 浸漬液として水道水を用いカキ・ナシ・モモを浸漬し, 抵抗・容量・インビーダンスの交点周波数と鮮度・堅さ等との相関関係を調べた. 交点周波数と鮮度・堅さ等には有意な相関が見られ, 鮮度等平均的品質を大きさや形状に関係なく非破壊で測定てきることを実証した.
|