研究概要 |
本研究の目的は超音波映像の動画像を連続的にフリーズし, コンピュータに取り込んで分析する手法を確立し, 診療における超音波診断に適用することによって読像診断への寄与を検討することにある. そこで, 我々はCTコンピュータシステムを利用して復顔面領域における超音波映像の正常像および病変像の定量定性評価を行った. 映像はビデオテープに記録された. 次に動画像のなかから対象構造の異なった断層域での静止像を拾い出し, そのヒストグラムを作成してエコー強度の減衰および分布状態を検討した. また, 臨床例におけるヒストグラムは平均値, 最頻値, ゆがみ, とがりなどのファクターを利用して評価を行った. その結果は以下の如くであった. (1)ファントーム実験からエコー強度はビームフォーカスの深さから深方で次第に減衰した. 同一構造体の密度の相違によってエコー強度の分布に著明な変化を認めた. (2)大唾液腺の正常例および炎症例ではエコー強度の漸次的な減衰傾向を示したが, 全体的なエコー強度分布では炎症例で相対的低下を示した. (3)ヒストグラムのゆがみの値は転移性リンパ節が比較的大きく, とがりの値は脂肪腫が比較的小さかった. (4)ヒストグラムの平均値, 最頻値は悪性リンパ腫が他の病変に比較して低値を示した. 以上のことから, 本研究では初期の目的がほぼ達成されたと考える. 画像処理の一方法としてのヒストグラム分析は超音波映像の診断基準を設定する手段として有用であった.
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