研究概要 |
実験装置は, 東北大学の接触電離プラズマ発注装置, Q_T-MachineおよびQT-Upgrade Machineを使用した. 装置端に設置された熱板(タングステン, 焼く2000K)上でアルカリ金属蒸気が電離して生成されるプラズマを軸方向の強磁界で保持する. プラズマ密度は10^8cm^<-3>前後であり, このプラズマを軸方向に加速し, プラズマ流として磁力線に沿って流がす. 磁界は, プラズマ源から遠ざかるに従って強くなるようなミラー型配位とする. ミラー比は1-7.5である. このような配位は, オーロラ上空を模擬するものであり, そこで形成される静電ポテンシャル構造の実内実験を可能とするものであり, 理論的予測を実証するに必要である. 実験結果を要約すると, 1.プラズマが磁力線に沿って流がれ, 磁界が強くなる場所に達するとプラズマ電位の上昇が観測される. その値は, ボルツマン則から予想される値よりはりかに大きく, 電子およびイオンのピッチ角の異方性の相違に基づく電位形成によるものであることがわかった. 2.また, プラズマ流がターゲットに到達すると, 大きなターゲット効果が見い出される. ターゲット電位が正のときは, 電位上昇が更に増加し, 負のときには, 電位上昇が小さくなり, ほゞボルツマン則からの予測値になる. 3.電位構造の三次元分布を測定すると, プラズマ断面上の中心近辺の電位上昇に比して, プラズマ周辺部でき電位上昇が大きいことがわかった. 以上の結果は, オーロラ現象に関与する電位形成についての理論的予測の一つを実証するものである.
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