研究概要 |
本研究課題では, 分散型システムの実現方式, 特に, 単一の計算機システムを複数のプロセッサを用いて制御する計算機複合体の構成方式, および, 分散処理システムを利用して並列処理を行う方法の開発を行った. 計算機複合体の実現方式に関連して, 複数のプロセッサからなるシステムを単一のシステムとして運用するための分散型オペレーティング・システムの実現方式として, 通信で結合された軽量なプロセスの集合であるプロセスネットワークを用いる方式を提案するとともに, 試作システムを実現し, 実際にシステムが実現できることを示した. また, 試作システムの実現経験から, 提案方式によるシステムの開発では, システムを構成するプロセスを, 通常の利用者プログラムと同等の環境で個々独立にデバッグすることにより効率的な開発が行えることを明らかにし, そのための開発環境を開発した. さらに, 提案方式によるシステムのオーバヘッドの主な原因がプロセス間通信によるものであることを確かめるとともに, プロセス間通信を直接実行するハードウェアを開発することにより, オーバヘッドを実用上無視しうる程度に削減できることを示した. これらの技術をもとに, 複数の利用者が同時に利用することのできるエンジニアリング・ワークステーションAgora-Iの設計を行い, 一部の実現を完了した. 分散処理システム上での並列処理方式について検討した. 実際に, データベースの基本演算を関数計算として実行する並列処理システムを実現した. このシステムでは, データベースの基本演算は, 関数プログラムとして記述される. これにより, データベース管理システムの拡張の容易化, および, 処理の並列性の抽出の容易化を図ることができる. この並列処理システム上で, 関係データベースおよび演繹データベースの処理形の実現を行った.
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