研究概要 |
1.仮説推論方式としての視点主導型推論方式の設計…地域計画文書の計算機による知的処理のための1つの重要な課題は, 計算機による計画のコンテクストの理解である. 仮説推論は, 「ある事象または行為が生じた原因の説明」「将来の変化や目標に影響しうる事象または行為の説明」等を, 不完全な情報のもとで正当化するための推論で, 計画のコンテクストの理解においても重要な役割を果たす. 本研究では, 仮説推論を, 仮説構成・管理・検証からなる推論方式としてモデル化し, 求められる仮説が満たすべき基準として, 『正当性』『完備性』『最小性』『識別性』の4つを与えた. そして, これら基準を満たす仮説推論の1方式として, 視点主導型推論方式を設計しそのアルゴリズムを与えた. 視点主導型推論における仮説構成は, 目標を導きうる視準木を『局部的拘束』により展開し, 『拘束伝播』により視準木をもとに視点を仮説する. 仮説検証は, 仮説の正当性と識別性を判定する. 仮説管理は, 正当でない仮説を効率的に取り除き, 仮説の識別が可能なように視準木を再構成する. 2.視点主導型知識システムの設計…視点主導型知識システムは, オブジェクト指向のもとに論理指向とルール指向の知識表現を融合した知識ベースと視点主導型推論のための視点制御機構とから構成される視点主導型推論を実行するシステム構築のトゥールである. 視点制御および知識操作の手続きはメツッドの集合として提供され, 知識処理はメッセージインタプリタによるこれらメソッドへのメッセージ伝達により遂行される. 視点制御機構は, 仮説構成のための投視メソッド群, 仮説検証のための視点拡張メソッド群, 仮説管理のための視準管理メソッド群から構成される. これら知識ベースと視点制御機構を設計し, ワークステーションAS3050M上に実装し, その動作を確かめた.
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