研究概要 |
まず, 投げなわ構造の基本骨格構造である分岐RNAの分岐部位の合成を検討した. このため分岐点であるアデノシンの2′および3′位に位置選択的リン酸化反応を確立することを試みた. マルキービッツらの関発した1, 1, 3, 3-テトライソプロピルジシロキサンー1, 3-ジイル(TCPS)基を3′, 5′水酸基の保護基として用い, 2′位をトリス(ジエチルアミノ)ホスフィンをテトラゾール存在下反応させそのあとアニリンと置換, ヨウ素酸化を経て2′位にジアニリノホスホホリル(PNN)基を導入した. 次に, TIPS基をフッ化物イオンを用いて除去した際, このPNN基が2′→3′転位することを見出した. この転位反応は次の第2のリン酸基の導入に密接に関係するため詳細に検討した. その結果2′-位に導入されたPNN基はピリジン水中あるいはメタノール中で60°Cに加熱すると3′-位に1hで転位し, 2′-リン酸体との平衡混合物を与えることがわかった. この3′-リン酸体はジクロロエタンから優先的に結晶化できることがわかり, この転位反応を利用して3′-PNN体を収率よく合成することができた. この合成中間体を用い, 5′-モノメトキシトリチル化を経て常法によりPSS基を導入し, 分岐点のアデノシンユニットを構築することに成功した. このユニットのPNN基のアニリノ基は亜硝酸イソアミル処理することにより選択的に除去することができた. その結果得られた3′-モノエステル体をシアノエチル化することで3′-ビス(シアノエチル)ホスホリル体に誘導することができた. これを合成中間体として保護されたCUGA^G_Aを遂次縮合反応により合成した. その脱保護および生理活性について調べた. その結果CUGA^G_Cを収率20%で合成できた. また, CUGA^G_Cを5′-カイネーションし^<32>Pでラベルし, スプライシング反応系に投与しその阻害活性について調べたが, 顕著な阻害活性はみとめられなかった.
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