研究概要 |
新種の合成ポルフィリン錯体(鉄・マンガン錯体)を触媒として, オレフィンのエポキシ化反応を行い, その反応機構と依存性を特定した. 反応は, 次亜塩素酸イオンを酸素源とし, 水-ジクロロメタンの二相系で行った. 形態依存性反応としては, アトロープ異性マンガン錯体(αααα異性体)によるスチレンのエポキシ化に際し, 反応面選択性が見出された(開口部反応). またオルト位に電気陰性度の高い置換基をもつTPP型錯体は, 酸化耐久性が高く, これらの鉄錯体を使用すると従来触媒活性が低いと考えられていた. 鉄ポルフィリンー次亜塩素酸イオンの系でも円滑に反応が進行し, 新たな触媒反応系が構築できた. その初速度基質濃度依存性はミカエリスーメンテン式に適合し, 触媒反応は酵素類似機構で進むことが判明した. 多種類のポルフィリン錯体触媒を用いる上記の系統的エポキシ化反応の研究より, 錯体触媒の形態は, ミカエリス・メンテンパラメーターや生成物の選択性に反映される事が明らかとなった. 同時に, 鉄・マンガン触媒間で基質選択性や反応機構の相違が多数存在する事も確実になった.
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