研究概要 |
高分子複合材料は, さまざまな添加剤や充填剤など含んでいるばかりではなく, 用途によっては三次元の網目構造を形成して用いられている. 本研究では, 実用に供されている素材高分子および複合材料の試料片をパルス的に熱分解し, 生成したフラグメントを高分解能溶融シリカキャピラリーカラムを装着したガスクロマトグラフにオンラインで導入して得られるパイログラムをもとに, 熱分析やスペクトル分析等の測定結果と組み合わせて, 局所構造をキャラクタライズする新しい手法を検討し, 以下のような成果を得た. 1)ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンゲルの架橋間平均分子量を推定する方法を提案し, また, 重合法の違いにもとづくゲル構造の差異と熱分解挙動との相関を明らかにした. 2)エポキシ樹脂の硬化過程を解析した. 3)硫黄加硫されたさまざまなゴム種の加硫過程を追跡する手法を確立した. 4)テレフタレート型ポリエステルの熱分解機構を系統的に明らかにした. 5)磁気記録材料中のバインダーポリマーとしても広く利用される, 種々のポリウレンタンの熱分解挙動を系統的に明らかにし, 解析を行った. 6)低密度ポリエチレンを分子量分別した各フラクション中の短鎖分岐構造の分子量依存性を初めて解析した. 7)高い耐熱性と強度・弾性率を兼ね備えた繊維として注目されている, 芳香族ポリアミドの熱分解挙動を解析した.
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