研究概要 |
フラックス法と浮遊帯域溶融法(以下FZ法と略記する)によって高機能レーザー用のホウ酸塩であるNdAl_3(BO_3)_4とMgNdB_5O_<10>単結晶の製造を試み, 以下の結果を得た. 1.Li_2O-B_2O_3二成分系をフラックスとして高温溶液(1150°C)を5(または2.5)°C/hの冷却速度で600°Cまで徐冷してNdAl_3(BO_3)_4単結晶を育成した. Li_2O・1.22B_2O_3フラックスが大きな単結晶の成長に適していることを見いだし, そのフラックスから38×4×4mmに達する大きさの結晶を育成した. 生成した単結晶は青紫色透明の六角柱であった. 2.BaB_4O_7フラックスを用いたFZ法によりNdAl_3(BO_3)_4単結晶を育成した. 溶質とフラックスの混合物からなる試料棒を作成した. 上下主軸の回転数=30rpm(逆方向), 育成速度=5mm/h, 雰囲気=空気, 印加電圧=約49Vの条件下で最大3mm中×15mmの円柱状結晶が生成した. 結晶の直径は試料棒のそれよりも細くなる傾向があった. 生成した結晶は青紫色半透明であった. この結晶は, 割って顕微鏡観察すると, フラットな結晶面や貝殻状の断口をもつ小さな単結晶(最大約0.6mm)の集合体であることがわかった. 3.FZ法によりMgNdB_5O_<10>融液からその単結晶を育成した. 上下主軸の回転数=30rpm(逆方向), 育成速度=1〜10mm/h, 雰囲気=空気, 印加電圧=39〜48Vの条件下で最大12mm中×15mmの円柱状結晶が生成した. 結晶の直径は試料棒のそれよりも太くなる傾向があった. 生成した結晶は赤紫半透明であり, 最大1〜2mmの小さな単結晶の集合体であることがわかった. 以上のように, Li_2O-B_2O_3フラックス法で大型のNdAl_3(BO_3)_4単結晶を育成し, FZ法ではNdAl_3(BO_3)_4とMgNdB_5O_<10>単結晶をそれぞれ育成できることを明らかにした.
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