研究課題/領域番号 |
61470071
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学・無機材料工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米沢 貞次郎 京大, 工学部, 教授 (20025787)
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研究分担者 |
森島 績 京都大学, 工学部, 助教授 (50026093)
中辻 博 京都大学, 工学部, 助手 (90026211)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1986年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 無機材料 / 電子論 / 触媒理論 / プラチナ / ダングリンボンド / 化学シフト |
研究概要 |
無機材料の電子物性はその機能設計や分子工学のうえで基本的な重要性をもっている。この無機材料の電子物性を特徴づけるものに、金属のα電子状態と表面のダングリングボンドがある。今年度はこれを明らかにする目的でプラチナ金属の化学吸着能とカドミウム・錫錯体の金属のNMRについて研究した。1.プラチナ表面は種々の分子の吸着に対して活性が高く、そのダングリングボンドの本性に興味が持たれる。ここでは水素分子の化学吸着をとりあげ、表面構造と活性について研究した。その結果、プラチナ表面上での解離吸着は本質的には一個のプラチナ金属上でおこり、side-on、on-too型の構造を経由する。さらに、表面での移行は非常に滑らかにおこり、一個のPtに一個のHが吸着している状態が安定である。また、プラチナ表面は、このような表面過程を通じて、安定であり、触媒としての安定性が示された。プラチナの場合には、先のパラジウムと異なり分子状の安定状態は見出されなかった。これらの表面過程を通じて、Ptのα電子の役割が重要であり、ダングリングボンドも主としてこの軌道によって構成されていることが示された。2.金属のケミカルシフトはそのα-電子や外殻のp-電子の状態を知るうえで非常に有力な方法である。本年度はカドミウムと錫の錯体をとりあげ、その金属核の化学シフトについて理論的に研究した。カドミウム錯体においては特にp-電子に基づくp-機構が重要であり、従って、p-電子供与性のリガンド程大きなケミカルシフトを与える。錫錯体についてもこの点は同じであり、p-機構が重要であるが、この場合にはリガンドの置換に対してU字型の変化を示す場合(ハロゲン置換体に多い)と、直線型の変化を示す場合がある。直線型の変化は理論によって見事に再現され、U字型も一致は悪くなるものの、理論的に再現された。
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