研究概要 |
1. 粘土修飾電極上での2.2'-ルテニウムトリスビピリジンおよびヘキサシアノ鉄(III)イオンの電極反応挙動を溶液の酸性度の関数として調べた結果, カチオン性の反応種である前者では, 強酸性水溶液中で酸強度が増すほど電極反応が抑制され, いっぽう, アニオン性の反応種である後者では, 溶液の酸性度が増すほど電極反応が増進された. このような結果は, 溶液の酸性度に応じてプロトンが吸着することによる電極表面の正の帯電が反応種との間で静電的な相互作用を生じせしめ, 電極表面への反応種の吸着量を変化させることを反映したものであり, 粘土修飾電極における電極表面の帯電状態の重要が初めて明らかになった. 2. 粘土層間にアニリンを取り込ませ, それを電解重合しこところ, 電解重合はきわめてゆっくりと進行し, 重合が完結するまでには10時間以上を要した. 粘土層間内での電解反応の速度はきわめて小さいことが分かった. 3. 粘土層間に酸化チタン超微粘土を取り込ませ, これを光触媒に用いて, 分子サイズの異なる直鎖カルボン酸の光分解反応を行なわせた. ねんぎ層間の長さよりも小さなカルボン酸は層間に取り込まれたものが反応するが, 大きなカルボン酸は, 予期したように, 層間に取り込まれないために, 粘土層が反応を阻害する方向に働く. 粘土層間の反応は, 層間に多数の酸化チタン光触媒が固定されきいるために, アニリンの電解重合のように遅くはなく, 比較的すみやかに進むことが分かった. 4. 細孔径の異なるゼオライトを用いてゼオライト修飾電極を調整し, 鉄(II)イオンの酸化還元挙動を調べた. 細孔が水和鉄イオンのサイズよりも大きい5A2F2(コード)以上のものでは, 細孔内に鉄イオンがそう入固定され, 電解質イオンが細孔径より小さければ, 強酸性水溶液中で明瞭な酸化還元反応を起こしうることが認められ, ゼオライトが電極反応でも分子ふるい効果を有することが明らかになった.
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