研究概要 |
種々の側鎖構造をもつ両親媒性クラウンエーテル(以下CEと略記)及び脂質モデル構造または金属配位子をもつ両親媒性アミンイミド(以下AIと略記)を新たに設計し, 多種類の化合物を合成して, それらの界面化学的物性及び応用的機能について検討した結果, 大要以下の知見を得た. 1.長鎖CEは相当する非環状体と異なり, 希薄水溶液中で数量体以下の前期会合体を作り. 濃度及び電解質の有無によりミセル形態が著した変わる. 2.気水及び油水界面での長鎖CE単分子膜の膜電位及び吸着安定性に及ぼす金属塩の効果から, 膜状態における錯形成挙動の評価が可能である. 3.長鎖CEとリン脂質の混合ベシクルの調製に成功し, これは塩の添加により陽イオンCE間の錯形成に良く対応したζ電位及び凝集性の変化を示し, イオン選択的な錯形成能をもつコロイド粒子として機能しうる. 4.分極した油水界面で, 長鎖CEの吸着と錯安定性を界面電気化学的に調べることにより, イオノファの吸着及び輸送現家をモデル的に検討できる. 5.2本の長鎖基をもつAIは, 水中で会合安定性の高い比較的小型の一枚膜ベシクルを形成し, 脂質モデルとして特異な会合体材料となる. 6.側鎖中にアミノ酸残基をもつ長鎖CEは, 水中分散性と会合体安定性が大きく, とくに2本鎖疎水部と組み合わせた化合物は安定な二分子膜会合体を与える. また, 極性基質の液膜輸送担体として優れた輸送能を示す. 7.アザ及びジアザCEの側鎖構造と水溶性, 錯形成能, 相関移動触媒能の及び液膜でのイオン輸送機能の関係にいて, 幾つかの新知見を得た. 8.αピコリル基, イミダゾール基, 水酸基, チオール基を複合配位子とする長鎖AIは, Zn^<2+>存在下のミセル系において高いエステル加水分解触媒能を示し, チオール基を含むAIではターンオーバー機能も確認され, 優れた金属加水分解酵素モデルとなりうる.
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