研究概要 |
1.A-ホモー5α-コレストー1-エンー4-オン B-ホモーコレストー5-エンー8-オンなどステロイド系β, γ-不飽和ケトン類をモデル基質として, 光1, 3-アシル転位生成物がβ, γ-不飽和ケトンの立体配座に依存することを明らかにした. 2.(E)-5α-コレストー1-エンー3-オンオキシムが光によってイソオキサゾール構造を有するステロイドに立体特異的に転位することを見い出し, この新光転位反応の機構を重水素標識実験などを用いて明らかにするとともに, ヒドロキシイミノ基のαまたはβ位にメチル基を導入した際の効果を詳細に吟味し, 1, 4, 4-トリメチルー5α-コレストー1-エンーのβ, γ不飽和オキシムへの立体特異的新光転位を見い出した. 3.α, β-不飽和ケトンと環状ケトンエノールエーテルの2+2光シクロ付加-β-開裂による環拡大の新手法を開発し, ベンゾホモトロポン類, ベンゾシクロオクテノン類, ウイッドロール骨格などを合成して汎用性を明らかにした. 4.ニトロ化合物の光反応については, 多数の5, 6, 7員環α-ニトロケトンについて光分解生成物を吟味し, 5員環においては窒素の挿入された生成物を生じることをはじめ, 新しい光転位反応を見い出した. 5.4-ヒドロキシクマリン, または4-ヒドロキシキノリンと各種オレフィンの光シクロ付加体から発生させたアルコキシラジカルのβ-開裂によるフラノキノロン, フラノクマリンの新合成法を確立した. 6.リチウムアルケニルアミドの電極酸化により生成する窒素ラジカルの閉環による2, 5置換ピロリジンの立体特異的合成法を確立した. 7.アルコキシラジカルのβ-開裂を利用する大環状ケトン合成の新手法を確立し, この方法により天然大環状ケトンであるムスコンならびにエキザルトンを合成した.
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