研究概要 |
新規な官能化ニトリルオキシド, (ジエトキシホスホリン)-1__〜及び(フェニルチオ)アセトニトリルオキシド2__〜の生成法を先ず開発した. 1__〜及び2__〜とモノ置換オレフィンとの環状付加によって3位にリンまたは硫黄官能基, 5位にオレフィン由来の置換基をもつ2-イソオキサゾリン体がレギオ選択的に合成できること, そしてこれらは付加体の脱プロトン化は位置選択的に3位側鎖状に起り, アルキル化, オレフィン化, マイケル付加など種々の化学修飾が可能であることを明らかにした. また, これら2-イソオキサゾリン体の還元的開環反応を利用したβ-ヒドロキシケトン及びα,β-不飽和ケトン類の合成法を確立し, (±)-ジンゲロール, (±)-ヤシャブシケトールやそのジヒドロ体などの天然物の合成へと展開した. また, 水酸基をテトラヒドロピラニルエーテルとして保護したアリルアルコール類と1__〜とのレギオ選択的な環状付加体, 2-イソオキサゾリン体, を水素化分解し, その生成物の脱水閉環により2位にリン官能基をもつフラン体の合成に成功した. この方法はアリルアルコール類を適当に選ぶことによってフラン環の3, 4, 5位に置換基を自由に導入できる. さらに, リン官能基の特性を活用した化学修飾によって2-アルケニルフラン体の合成法を確立し, この方法をオーストラリア産サンゴから単離されたフラノセスキテルペンの合成に適用した. さらに1__〜とアセチレンアルコール類との環状付加反応によってレギオ選択的に生成したイソオキサゾール体から5位にリン官能基をもつ3(2H)-フラノン体の合成法を確立し, さらに5-アルケニルフラノン体ヘの誘導に成功した. この方法を抗ガン活性を示すゲルパルバリンの合成へ利用した. 以上のようにニトリルオキシド1__〜及び2__〜は有用な新規合成試剤であることを明らかにした.
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