研究概要 |
天然多糖シゾフィラン(非電解質三重らせん)とザンサン(電解質二重らせん)の稀薄及び濃厚溶液物性を光散乱, 旋光度, 粘度, 電位差滴定, 熱測定により研究し, 下記の成果を得た. 1.水溶液中のシゾフィラン三重らせんは規則的側鎮形態から不規則側鎮形態への協同的構造転移を起こす. この転移は顕著な同位体効果を受ける. 2.ザンサン(ナトリウム塩)の二重らせんは0.01M食塩水中でコイル状の二重体に部分融解する. この融解に伴う慣性半径の変化は二重らせんが両端のみから融解するモデルによってほぼ定量的に説明できる. 3.分子量の異なるシゾフィラン2試料と水からなる三成分溶液は適当な組成域で二つのコレステリック相と一つの等方相の三相に分離する. 4.ザンサンの食塩水溶液もコレステリック液晶を形成する. 5.二成分系半屈曲性高分子溶液の等方-液晶相平衡理論はシゾフィラン, ザンサンを含む種々の高分子についての実験結果とよく合う. 6.本研究で製作した光子相関計はポリスチレン及び同ラテックスの正確な拡散係数を与える. ザンサン溶液についての測定は現在遂行中である. 7.磁気浮遊型粘弾性装置を製作し, それを用いてザンサンの等方塩水溶液の粘度を高分子, 塩濃度の関数として測定した. 屈曲性高分子電解質の場合と異なり, 粘度は塩濃度にあまり依存しないことが分った. この結果はザンサン二重らせんが極めて剛直なことを反映している.
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