研究概要 |
1.水酸基含有スチレン誘導体とエピクロルヒドリンの相間移動触媒反応により, 一段階で収率良く含エポキシスチレン誘導体を合成することができた. 2.エポキシ含有スチレンとスチレンの共重合で得たポリアーは光分解性スルホニウム塩存在下で光照射することにより容易に不溶化する. この不容化はエポキシ基のカチオン重合で進み, その反応性はポリマー主鎖とエポキシ基間ヘスペーサーを導入して距離を増加すると増大した. またエポキシ基にメチル基を導入すると架橋反応性が増加した. 3.エポキシ含有スチレンとスチレン, ジビニルベンゼその懸濁共重合により得たゲル型含エポキシビーズとポリエチレングリコールの反応によりジオール構造を有する固定化ポリエチレングリコールを合成した. この固定化グリコールはエポキシ基とポリエチレングリコールが1:1で反応した構造と2:1で反応した構造を含み, エポキシ基含量の少ないビーズやスペーサー型ビーズの場合, 前者の1:1構造が多くなった. 三相系下での脱離反応に対する触媒活性とエポキシ基含量, スペーサー鎖長, ポリエチレングリコール鎖長の関連を詳細に検討し, 高活性の固定化ポリエチレングリコールを得ることができた. 4.アクリル酸ブチルと含エポキシスチレンとの共重合によりペンダントエポキシ含有アクリルゴムを合成し, これをエポキシ樹脂の改質剤として用いた. アクリル酸ブチルユニット74%, ビニルベンジルグリシジルエーテルユニット26%からなるアクリルゴムをアミン硬化エポキシ樹脂系に20重量%添加すると, 硬化物の破壊じん性値が30%増加した. 破断面の観察からアクリルゴムが微粒子としてエポキシマトリックス中に分散したミクロ相分離構造の存在が認められた.
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