研究概要 |
超臨界炭酸ガスはある種の有機物に対して優れた溶剤能力を有し, また常温付近で超臨界状態を達成出来ることから, 熱的に不安定な物質, 特に生理活性物質の抽出に適用出来ると考えられる. ただし, 一般の抽出においては, 混合有機物から特定の有機物を分離する際の選択性に問題を有することがある. このような背景のもとに, 又微量有価成分の濃縮回収も念頭におき, 本研究は, 微量有機物を吸着により選択的に濃縮する段階と, そこに濃縮された有機物を超臨界炭酸ガスの溶剤能力により脱着回収する段階の組合せで, 熱的に不安定な物質でも容易に濃縮回収する方法を開発しようとするものである. 特に第二段階に関しては未だ殆んど解らぬことが多く, このため基礎的な検討として, (1)フェノールをモデル物質として活性炭からの脱着に関する操作条件の最適範囲の検討, (2)各種有機物(78種類)の活性炭上の吸着と起臨界炭酸ガスによる脱着の検討による脱着率の評価, (3)有機樹脂吸着剤における脱着率の有機物による差異の検討, を順に行なった. 結果の概要として, 常温で液体の範囲にある有機物は活性炭からも容易に脱着され, 一般に揮発性の高い物質の脱着が容易であること. 吸着樹脂XAD8を用いた検討では, 活性炭より吸着能力は劣るものの, 吸着有機物の脱着回収には有利であることが判明した. さらに今後体系的なデータの整備により, 頭初の目的を達成するための(1)吸着剤の選定, (2)脱着条件の選定の指針が得られるものと考えられる.
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