研究概要 |
微地形により畑土壌の変化を細密土壌調査によって明らかにし, エネルギー・水および物質の移動と土壌特性の関連を研究した. また, これと各種画像データの比較解析によって, 空間的変動の調査法に関する基礎資料を得た結果は次のように要約できる. 1.傾斜地畑土壌の物理・化学的特性の空間的変動:地上20mメッシュの系統的サンプリングによって傾斜地畑における土壌特性の空間的変動の様子を調査した. この調査では, 放射性降下物(137Cs)の分布を調査して, 地表面における土壌粒子の移動・最分配を追跡する方法を検討し. 粒状物質の移動を追跡する方法として有効なことが確めた. 137Csは稜線部・上部凸型緩斜面で少なく, 山麓凹型緩斜面に多量に集積しており, その空間的分布は斜面における物質移動の特徴を良く再現する. されと全炭素集積量等他の土壌特性の分布を比較することによって, 粒状物質の移動(土壌侵食)による不均一化と溶解物質の移動によるそれを分けて評価できることを明らかにした. 2.写真判読の自動化:赤色反射光センサによって, 通常空中写真の濃淡を数値判読する方法を検討した. モノクロ空中写真よりポジフィルムを作成し, アルミ板上で反射光を測定することによって, 濃淡の数値判読を精度良く行うことができる. 判読と地上調査の結果を照合してその有用性を確認した. 3.熱赤外線映像による地表条件の判読:INFRA-EYE5000および赤外線カラー映像装置を用いる土壌表面温度測定法を検討した. 表面の密度・粗度によって土壌表面温度が変化すること, それが蒸発による熱エネルギーの放出(冷却)によることを明らかにした. それに基づいて,熱赤外線映像装置を土壌面の水・熱エネルギー収支とその空間的変動の解析に利用する方法・条件を明らかにした.
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