研究概要 |
海星綱動物, 後鰓類動物, 北欧産Abies族植物, 渦鞭毛藻に含まれる新しい他感作用物質の純粋単離, 立体化学まで含めた構造決定を企画した. まず海星綱動物イトマキヒトデの水抽出エキスより, 4種の新ステロイドオリゴ配糖体サルフェート(pectinosideA〜D)(以下P-A〜D)の純粋単離II成功した. 化学的及び機器分析的知見からP-A及びDはそれぞれ新規オリゴ糖を有するthornasterol A及びasteroneのオリゴ配糖体サルフェート, P-Bは海産動物成分では最初の, 2ケ所に分岐を有する, ユニークなオリゴ糖を持つ新規エポキシステロールのオリゴ配糖体サルフェート, P-Cも新規アグリコンである. 24(S)-ethyl-thornasterol Aのオリゴ配糖体サルフェートであることを明らかにした. 更に同じ水抽出エキスより4種の既知及び2種の新ポリヒドロキシステロイドを純粋に単離し, 化学的及び機器分析的知見から, 後者は新5α-cholestane-octol及びpentolであることが判った. 後鰓類動物アメフラシの体壁部からは2種の新及び一種の既知ポリハロゲン化モノテルペンの純粋単離に成功し, 化学的及び各種スペクトルデータからそれらの相対構造を明らかにした. 更にその1種についてはX線結晶解析を行い, 絶対構造まで明らかにした. それらモノテルペンに魚読活性作用があることも明らかにした. また同動物の中腸腺からは2種の新セスキテルペンを純粋単離し, 構造を明らかにした. 北欧産Abies属植物, Abies alba, のヘキサン抽出画分からは3α-hydroxy-abietospiran, abietospiran, dehydroabietic acidを単離, 同定した. また同属のAbies firmaからはabieslactoneを単離, 同定した. 渦鞭毛藻については先ず実験材料の種の同定を行い, gymnodinium65であることを明らかにしたが, 赤潮の発生が無く, 材料不足のため詳細な研究はできなかった.
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