研究概要 |
北西太平洋域, なかでも日本列島の陸上に発達する新第三系の微化石生層序学的研究に利用される比較・参照コレクションの作成を目的に研究を進めた. コレクションと12用いた微化石標本は, 深海掘削計画(Deep Sea Drilling Project)と国際深海掘削計画(International Phase of Ocean Drilling of the Deep Sea Drilling Project)で採取された堆積物試料より作成した. 深海掘削計画, 国際深海掘削計画(DSDP-IPOD)の試料群は, 地球科学研究上極めて重要なものである. 特に, 多くの微化石化石帯が同試料群に基づいて提唱されているため, 微化石生層序学的研究上のスタンダードと12の機能は重要である. コレクションには, 北西太平洋地域での生層序学研究上の重要性から珪藻化石を選んだ. 標本(散布スライド)体成前に, 個々の静水圧ピストンコアやドリルコアから採取した約1500点の堆積物試料中の珪藻化石の保存状況を確認した. その結果, 散布スライド作成のため堆積物1020試料を選んだ. これらの試料は, 北西太平洋, ベーリング海, 日本海から採取されたものである. 南西太平洋やフィリピン海から採取された試料中の珪藻化石の保存状況は悪く, コレクションに不適当であると判断した. 中新世から現世までの, 北西太平洋中高緯度海域に特徴的な生層序学上の出来事がこれら標本群中の化石フローラに認められ, 生層序学的研究上のスタンダードとして十分機能するものと考えられる. 個々の標本は, 航海番号, 掘削孔番号, コアとセクションの番号, 各セクション内での試料採取層準, 海域名そして化石組成から決定された地質年代などを情報化し, 登録・保管した. コレクションとそのカタログは, 生層序学や古生物学上の比較・参照標本として今後研究に利用される.
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