研究課題/領域番号 |
61480030
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木下 俊郎 北海道大学, 農学部, 教授 (10001421)
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研究分担者 |
高牟禮 逸朗 北海道大学, 農学部, 助手 (90179557)
三上 哲夫 北海道大学, 農学部, 助教授 (50133715)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 細胞質雄性不稔 / ミトコンドリアDNA / 多型性 / NC雑種 / 細胞選抜 / アイソザイム / 生理形質 / 雄性不稔細胞質 / 遺伝子相互作用 / 種子カルス / シトクロムc酸化酵素 / 葉緑体DNA / 生理特性 / 松粉稔性回復 / 生長解析 / 薬剤耐性 / イネ / テンサイ / 花粉稔性回復核遺伝子 / 低温要求性 |
研究概要 |
植物の細胞工学と核酸分析の手法を用いて、核、葉緑体およびミトコンドリアの3種のゲノムの相互作用を解明した。まず、テンサイの細胞質雄性不稔に関しては、オルガネラの制限酵素分析により、雄性不稔細胞質系統中に、S、Sー2、Sー3、Sー4の4種の多型性を見出した。これらは個体レベルでも交雑実験で完全に識別でき、SとSー4型間ではTAー2ー0を花粉親に用いて相反restorer-maintainer関係が成立した。これは相反循環選抜法へ利用できることで育種上極めて重要である。つぎに、コムギのNC雑種では、Aegilops orata由来の細胞質とコムギの核遺伝子型の相互作用に基づいて、一つの交雑組合せから出穂性の異なる多様な系統を育成でき、細胞質が低温要求性、日長感受性、純粋早晩性、耐寒性ならびに生育特性に顕著な多面作用を示すことを明らかにした。イネでは細胞選抜を実施し、種子カルスで各種の除草剤およびNaClへの耐性細胞系を作出した。一部からは個体も再生できた。14種のアイソザイム遺伝子について、個体と細胞でのザイモグラムを比較して、7種は細胞マーカーとして利用できることを明らかにした。細胞質雄性不稔ともっとも関連の深いDNAの単離を目指して、S型(雄性不稔)のmtDNAでN型と異なるシトクロム酸化酵素II(coxII)の相同領域が2つあって、いずれも5′上流域で構造変異を生じていることを見出した。また葉緑体ゲノムの分子特性を主体として、テンサイを含むBeta属のctDNAの制限酵素地図の変異を調べ、類縁関係を示す系統樹を作成して、8種へ分類した。テンサイともっとも遠縁にあるPatellores節においては、これまで安定性の高いとされていた逆位反覆配列(IR)内にも900bpにわたる挿入、欠失変異のあることを見出し、これがIRの機能や進化に及ぼす役割を検討中である。かくして育種上重要な生理形質について、核酸から生体に至る一貫した研究が重要であることを指摘した。
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