研究概要 |
1.食用ユリ子球生長点部組織の凍結保存:組織片の大きさは2mm程度, DMSOの濃度と取込り時間は16%, 30分, 予備凍結は1.0°〜2.0°C/min, -30°Cが適当であった. 凍結前の子球低温処理は0°C, 2週間で効果があった. これらの条件を満たせば液体窒素中でも生存し, 80%以上の生存率が得られ, 6箇月後においても同率が保持されていることを確認した. 2.ナシ茎頂の凍結保存:12月と1月に野外から採取した'フレミッシュビューティー'の茎頂は液体窒素(-196°C)でほぼ全部が生存したのに対し, 3月20日採取のものはすべて壊死した. 3.ブドウ茎頂の凍結保存:11月12日に採取した'デラウェア''バッファロー''キャンベルアーリー'の茎頂では, -20°Cで凍結した場合生存率100%であり, -30°C〜-40°Cで凍結すると70%以上であって, 9月採取の材料に比べてかなり高い耐凍性を示した. 12月13日採取の茎頂では, 液体窒素中で凍結した場合の生存率は100%であった. 4.リンゴ茎頂の凍結保存:自然条件下の茎頂を-196°Cで凍結した場合の生存率は, 'サマーランド'では, 4月8日採取のもので70%以上, 4月18日で50%, 4月28日で25%となった. 'スパータン'においても, 4月8日では90%であったが, 4月18日で50%, 4月28日には25%まで低下した. 一方, 3月19日に採取して0°Cで保存した枝から採取した茎頂の-196°Cにおける生存率は, 3月29日から5月27日までの間では, 'サマーランド'で70%以上, 'スパータン'では100%, 'スターキングデリシャス'で90%以上であった. 5.クロミノウグイスカグラの茎頂培養:BA:2:P, GA3の培地への添加は, 葉数・葉長を増大させシュート形成を促進した. BAは2:Pに比べカルス形成作用が小さいので, この場合, サイトカイニンとして適していると思われる. 今後, 本研究結果をさらに発展させたい.
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