研究概要 |
1.発生実態-わが国には11種のルテオウィルスが発生, 分布していることが明らかとなった. すなわち, オオムギ黄萎ウィルス, テンサイ西部萎黄ウィルス, ニンジンレッドリーフウィルス, ブドウ味無果ウィルス, リーキ黄萎ウィルス, レンゲ萎縮ウィルス, ジャガイモ葉巻ウィルス, ダイズ矮化ウィルス, イチゴマイルドイエロエッヂウィルス, タバコえそ萎縮ウィルス, ピーマンからの-ウィルスの11種で, 北海道から沖縄までウィルスによっては広く, あるいは局所的に発生している. 2.比較研究-以上のうちオオムギ黄萎ウィルス(BYDV), テンサイ西部黄萎ウィルス(BWYV), ダイズ矮化ウィルス(SDV), レンゲ萎縮ウィルス(MVDV)につき比較研究を行った. (1)BYDV-新潟株と福井株を分離比較したが, 媒介虫特異性, 血清学的特性から同一の系統と考えた. ゲノムRNAの複製中間型や細胞病理的変化から何れの亜群に帰属させるべきかを検討した. (2)BWYV-新潟の圃場からホウレンソウの-病原ウィルスとして本ウィルスを分離した. 血清学的特異性, 理化学的性状, 細胞病理学的変化について種々比較検討した. なお, 本分離株はジャガイモに感染しないことを確かめた. (3)SDV-D系統, Y系統による感染ダイズの細胞病理的変化, ウィルスの所在様式を明らかにした. (4)MVDV-感染植物の節部細胞内篩部細胞内に径約17mmの小球形粒子を観察しまた病組織からの純化標品中にも径18mmの小球形粒子が認められた. また, 病組織から複製中間体としての2本鎖RNAは検出されなった. 以上のことから本ウィルスは従来考えられてきたルテオウィルスでなく, 新しいウィルスの可能性が高い.
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