研究分担者 |
柴本 秋男 東京農工大学, 工学部, 助手 (20092489)
HUKASHI Shimizu Faculty of Textile Science and Technoiogy,Shinshu University, Associate Professo
TAKASHI Konishi Faculty of Textile Science, Kyoto Institute of Technology, Professor.
NAOTO Koide Faculty of Education, Shizuoka University, Professor
AKIRA Kuwahara Faculty of Science of living, Shizuoka Women's University, Professor.
HIROSHI Imamaru Seika Women's junior college, Professor.
|
研究概要 |
絹の新規用途拡大のため絹素材のもつ防しわ性に乏しい点を改善し優れた防しわ性を附与することは極めて重要なことであり, 特にわが邦の気象条件からも高湿度雰囲気下での防しわ性を向上し, さらに湿防しわ性を附与することによってWashableな絹素材を提供し絹需要を促進することは極めて重要であり, この意味からも新素材開発研究は緊急な課題である. 本研究はこのような観点に立って研究を展開した. 樹脂として尿素系の4種を供試し, この中でDMEUおよびDMDHEUがЧ_3(外部粘性), E_2(遅延弾性)供に大きく防しわ性に優れることを明らかにし, 防しわ性向上のためにはЧ_3とE_2を大きくし, Ч_2(内部粘性)はむしろ抑えた方が防しわ性向上には必要なことがわかった. また各湿度雰囲気下での樹脂処理濃度ならびに付加張力と防しわ性との関係から, DMEUは高湿度雰囲気での防しわ性が大きく処理濃度10%のとき最大の防しわ性を示し, またDMDHEUでは高湿度雰囲気で樹脂処理濃度が高く付加張力が増大する程防しわ性が大きく, 特に25%樹脂処理が高い防しわ性を示した. また熱処理温度の上昇にともなって5%, 10%の場合両樹脂共にいずれも防しわ向上度(△S)は高くなり, 処理温度の上昇が樹脂の硬化を完全にしていることを樹脂含浸ろ紙のねじり剛性率の温度依存性の実験から確めた. またDMDHEUの方が防しわ性が高く130〜150°Cが最適熱処理温度であることを明らかにした. ついで樹脂加工工程中の予備乾燥につき検討し, 予備乾燥をおこなわないいわゆるWet curing(Flash drying)が樹脂浴の低濃度で湿防しわ性が優れることを明らかにした. また樹脂加工絹の空中および水中におけるガラス転移温度の差△Tgの測定からもDMDHEUはDMEUに比べその差が小さく湿防しわ性に優れることを明らかにし, △Tgが湿防しわ性の有用な尺度となることがわかった.
|