研究概要 |
1.飼料タンパク質源によるオリゴメチオニン補足効果の差異と膵プロテアーゼ分泌(Acute resporse):8%カゼイン(8C)に0.3%オリゴメチオニン(OM_<0.3>, 重合度6〜7)を補足すると離乳ラットの成長が飛躍的に改善されるが, 10%分離大豆たん白質(10S)ではその補足効果はほとんど認められなかった. そこでこの相違の原因を明らかにするため, 絶食ラットに3%OM添加食を投与30分後の門脈血Met濃度の増加量(OMの消化性)を調べた結果, 8C・OM_3群が10S・OM_3群より有意に高かった. これは食餌歴に影響されなかった. 次に8種類の動・植物性タンパク質源におけるOMの消化性をみると, 貝柱, こめ粉, グルテン, まぐろ, さけ, 落花生, 馬鈴薯, たらの順であった. そこで, このうち5種類のタンパク質源について, Metが第一制限アミノ酸になるように調整し, OMの補足効果を調べた. その結果, マグロ, グルテン, 落花生ではMetと同程度の補足効果を示したが, 馬鈴薯, タラでは低かった. さらに, グルテン, その酵素分解物, アミノ酸混合物飼料に対するOMの補足効果と消化性(短期膵応答)の関連性について調べた. 両結果とも, 酵素分解物が高く, グルテン, アミノ酸混合物の順であった. これらの結果からタンパク質源の種類によるOMの補足効果の相違は, タンパク質, 又はペプチドの膵外分泌刺激能力の違いによると推定される. 2.OM摂取による膵プロテア-ゼ誘導機構(Chronic response):8C、8C・OM_3、10S、10S・OM3で飼育したラットの膵プロテア-ゼ、特にCpase活性が有意に高くなっていた。又、8C、8C・OM_3、8C・Met_1で飼育したラットのOM消化性(門脈血Met濃度の増加量)を測定した結果、8C・OM_3摂取群が他の群より有意に高かった。10S、10S・OM_3で飼育したラットについても同じ結果が得られた。以上の結果から、OMを長期間摂取し続けると膵Cpaseの合成が亢進し、OMの消化性が増すと推定される。
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