研究概要 |
エネルギーアナリシスの手法を用い, 水産資源の漁獲とその加工といった両観点から水産業における全投入エネルギー消費の実態を詳細に検討することを目的とした. 推定方法はまず農林水産省編集による統計資料, 産業連関分析法によるエネルギーアナリシス等のデータを用いて, 魚種別単位漁獲量当りの全投入エネルギーを推定した. この結果と加工組合, 水産試験場, その他の研究者等の既存の研究成果とにより主要水産加工品製造における全投入エネルギーを推定した. その結果以下のことが明らかになった. 1) 日本の水産業への総全投入エネルギーは9.4×10_<13>kcal(昭和55年)と推定され, そのうち漁業生産活動へは全体の約8割である. 2) 次に1)の結果を用途別に見ると, 生鮮, 冷凍品に最も多くのエネルギーが投入され, ついで練り製品, 乾燥品となっており, これらだけで全体の8割を占めている. 3)漁業生産活動における総全投入エネルギーのうち, 海面漁業が全体の9割を占めている. 魚種別にはマグロ, スケトウダラ, 養殖ブリ, スルメイカ, カツオ, イワシ, サバといった魚種に多くのエネルギーが投入され, これらの魚種で全体の5割を占めている. 4) 魚種別単位漁獲当りの全投入エネルギーの各種水産加工品の製品1kg当りのエネルギー投入量は, 魚種別, 加工品目別によってかなり大きな差がある. 5) 水産物はおおむね魚業生産においても加工品製造においても農産物よりも多くのエネルギーが投入されている.
|