研究概要 |
農業生産力や農村の生活環境を向上させるため土地改良事業がある. 従来の土地改良事業は農用地のみを対象としていたが, 昭和47年および59年の改正によって非農用地も含めることが可能となった. これにより農用地と非農用地の土地利用を調整し土地利用の秩序化を図ることが期待される. しかし法律上可能となったとは言え現場でそれを取り込むにはさまざまな困難がある. そこで, 本研究では非農用地を含めた土地改良事業の事例を収集した. 市街化区域内と一体的に整備する緑農住区の事例では, 三重県東員地区, 福井県六条和田地区及び鳥羽地区, 神戸市前開地区, 愛知県幸田地区を調査した. 本事業では住区内農地所有者のうち, 住区から農区へ転出する者のメリットがほとんどないため事業参加への動機が薄いという困難がある. この困難の解決は各地区ごとに異なった方法で行っている. 水田の圃場整備に際して住宅用地等を捻出する事例は多い. 本研究では愛知県安城市内4地区同刈谷市依佐美地区, 長野県島立地区, 川手地区, 神林地区および田川地区と多数の事例を収集した. また都市化の可能性を含ませた区画割で整備した事例として神奈川県池辺地区, 岐阜県合渡南地区について調査した. さらに集落再編成の事例として, 過疎地散在集落の新潟県入広瀬村および散居村の北海道南網走地区を調査した. また農地利用調整の事例として福井県大野南部地区, 埼玉県上奥富地区, 千葉県高生地区を, 景観保全の事例として滋賀県八幡地区をそれぞれ調査した. 以上の調査のまとめにあたっては, 数値データに加えて地図情報も電算処理でするために入力装置を導入し, 入力・演算・出力に一貫してデータ処理が行ないうるシステムを開発した. その成果は一部報告書に反映されているがそのシステムは汎用的なものであるため, 土地利用計画・土地利用調整一般に亘って有効な手法と言えよう.
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