研究概要 |
流行型ウシ白血病(EBL)はウシ白血病ウイルス(BLV)に起因するBリンパ腫で, その白血病細胞表面には腫瘍抗原(TAA)が発現している. TAAに対する13種のモノクローナル抗体(mAb)を作出し, TAAの性状を検討し以下の成績を得た. 1.mAbの反応性からTAAは以下の3群に分類された. 1)分子量74000(74K)の各EBLに共通な抗原, 2)分子量64Kの一部EBLに共通な抗原, 3)分子量64Kの各EBLで抗原性の異なる抗原. これらTAAはいずれもレンチル・レクチンカラムに結合することより糖タンパクであることが明らかとなった. 各種酵素処理によりTAAの抗原決定基を検討したところ, 一部のmAbは糖鎖を, 一部のmAbはタンパク部分を認識していた. 2.TAAに対するmAbの一つc143のin vivoでのEBL細胞との特異的結合を検討した. すなわちEBL細胞をヌードマウスの背部皮下に移植し腫瘍が出現した時点で^<125>エーラベルc143F(ab′)_2を尾静脈より接種した. 全身シンチグラムでc143が明らかにEBL細胞に集積していた. 3.ヌードマウス移植EBL細胞に対するc143の抗腫瘍効果を検討した. すなわちEBL細胞移植後18時間目より200μgのc143IgGを腹腔内に2日間隙37日まで投与した. その結果無処理対照群にくらべc143投与群では明らかな腫瘍増殖抑制(P<0.05)がみられた.
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