研究課題/領域番号 |
61480097
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
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研究分担者 |
中山 晋介 名古屋大学, 医学部, 助手 (30192230)
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
高井 章 名古屋大学, 医学部, 講師 (50126869)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 平滑筋 / イオンチャネル / パッチクランプ / Kチャネル / Caチャネル / pH / カテコルアミン / 表面電荷 |
研究概要 |
細胞膜の興奮性は内向きと外向きの電流の相対的な強さで決まっていて、平滑筋では内向きはCaイオンにより、外向はKイオンによって運ばれていると考えられている。本研究ではパッチクランプ法を用いて単離した細胞でのこれらの電流について調べてみた。用いたすべての平滑筋で最も一般的に観察されるKチャネルは細胞内Caによって制御される、いわゆるCa依存性のチャネルである。このチャネルの電圧ー電流から求めたコンダクタンスは膜電位やイオン濃度に対し、Kイオンのみを通すと仮定して物理化学的な定電場の理論通りに変化するが、その開閉機構はCa濃度のみならず、膜電位やpH、あるいはATP濃度などのいろんな条件で複雑に影響を受ける。Kコンダクタンスは膜電位を決定する主な因子であるだけでなく、薬物の反応性にも大きく係わっていると考えられる。たとえば、カテコルアミンの抑制作用が細胞内の膜付近のCa濃度の上昇を介してKのコンダクタンスを増していることを示す結果が得られた。また、このチャネルに対するATPやpHの影響はエネルギー代謝と膜の興奮性を結び付ける過程を反映している可能性があり、今後の興味ある研究課題である。Caチャネルに関しては単一チャネルのレベルの記録が難しいので、細胞膜全体の内向き電流を測定し、Caチャネルの性質を推測した。家兎門脈でのCaチャネル電流も細胞内をアルカリにすると大きくなるので、Kチャネルと同様にpHの影響を受けると考えられる。ブタの冠動脈ではカテコルアミンのβ作用でCaチャネル電流が増大という結果が得られたが、アデニレートシクラーゼを直接活性化するフォルスコリンでも全く同じ効果がみられるので、細胞内サイクリックAMPを介してチャネルの開確率が上昇しているものと推測される。しかし、細胞の単離時の酵素処理やパッチ電極によって受容体や膜の電気的性質が変化する可能性も考慮して今後の研究を進める必要があると考えられる。
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