研究概要 |
I.初代培養ラット肝細胞におけるPGの代謝 (1)活性型PGと不活性型PGにおける代謝の差異:上記肝細胞はPGE_1,E_2,F_<2α>,D_2などの活性型PGは, 6-Keto-PGF_<12>やTXB_2などの不活性型に比べ, 早く代謝されることがわかった. 即ち肝細胞には両者を区別する能力があることになる. (2)活性型PGの肝細胞による新しい分解経路:PGE_1を例にとれば, いづれもβ酸化の経路に従って分解され, それぞれのdinor-体,tetranor-体となって肝細胞外へ排出された. またこの時, 2ヶ以上の二種結合は1ヶに還元された(B.B.A.1986). (3)肝細胞表面におけるPGE受容体の存在:スキャッチャード分析の結果, PGE_1の見かけ上の解離恒数は1.2×10^<-8>Mであり, 蛋白1mg当りの受容体数は約3.5×10^<11>ヶであった. (B-ochem.Int.,1987). (4)肝グリコーゲン代謝に及ぼすPGの影響:ホルモン促進性のグリコーゲン分解を阻害した. この効果はPGE系に特異的であり, PGD_2,F_<2α>は無効であった(B.B.A.1987). (5)百日咳毒素(islet-activating protein)の影響:PGEの上記グリコーゲン分解阻害効果は, 肝細胞を百日咳毒素で前処置しておけば全く見られなくなった. 従って, PGEの作用はGTP結合蛋白質N〓を介していると考えられる. (Prostaglandins,投稿中). III 初代培養ラット肝細胞におけるPAFの存在とその内在性阻害物質 上記肝細胞にも僅かながらPAFが存在しているが, 然しながらその他の正常組織, 例えば, ラット子宮には, 免疫・炎症刺激と無関係にかなり多量存在しており, また同時にその阻害物質として内在性のリゾレシチンとスフィンゴミエリンが同定された.
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