研究概要 |
Enxyme-immuno-histo-in situ hybridization(EIHISH)は3日で結果が得られるのでその利点を利用して急速な技術改良が行われた. プローブ標識に関してはDNP基を化学的に導入する従来の方法から紫外線照射によってプローブそのものをハプテン化する物理的標識法(チミンニ量体化法)に発展した. そして細胞内へ通過しやすいプローブサイズが決定された. 標本側については非特異的染色の少い固定法, 細胞内の標的核酸を露出させるためのプロテイナーゼK処理の濃度, ハイブリダイゼイションの温度, 洗浄時の塩濃度などそれぞれの段階で細かい条件設定がなされた. 現在のEIHISHの感度はオートラジオグラフィーの感度に近づいており, この技術は細胞生物学の分野では既に実用段階に入っている. 臨床医学の分野でも白血病細胞と腫瘍組織のスタンプ標本に関しては現在の技術レベルで実用化が可能である. しかし病理組織学への応用にはもう少し技術的改良が必要と思われる. EIHISHで良い結果を得るための標本としては新鮮凍結切片が最も良いが細胞形態が良くない. 一方, パラフィン切片は細胞内形態は良いが感度が低下する. これらのことから主な問題点は標本作製の側にあると考えられる. 今後, 標的核酸の分解が最も少ない新鮮凍結切片の利点と細胞内形態の良いパラフィン切片の利点を合わせ持つ標本の作製技術の開発が重要であろう. EIHISHでは非特異的反応の占める割合が酵素抗体法より高いため実際の診断に用いるのはまだ無理である. しかし癌遺伝子DNAをプローブとして癌の診断と分類を実験的に行った今回の研究結果では, あと少しの技術的改良を加えば実用可能域に達することが示された.
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