研究概要 |
1.容連菌由来抗原に関する検索:容連菌由来塩基性抗原(西独, フライブルグ大Vogt教授より送付)に対するモノクローナル抗体(MoAb)はELISAによるスクリーニングで3種類得られた. このMoAbによるヒト急性糸球体腎炎患者生検腎における塩基性抗原の証明には未だ成功していない. 2.腎炎惹起内因性抗原に関する検索:EHS肉腫とFx1Aを各々免疫することにより自己免疫性膜性腎病変をラットに惹起し, その脾細胞より, それぞれ数種の自己反応性MoAb産生クローンを確立した. 近位尿細管刷子縁や糸球体上皮細胞表面抗原に対するMoAbを単独, 並びに複数組みわ合せて繰り返しラットに静注することによる病変惹起の試みは, 蛍光抗体法(IF)レベルでの免疫グロブリン腎糸球体内沈着をもたらしたにとどまっている. 一方, 抗原の酵素処理や, 百日咳菌を加味した精力的な免疫等, 免疫原と免疫方法の工夫により, 従来得られ難かったラット腎糸球体内局在抗原を認識する多数のマウスMoAbが得られた. そのうちの代表的IgC1MoAb(5-1-6)をラットに一回静射したところ, 例外なく平均一日量150mgに及ぶ蛋白尿が惹起された. 認識抗原は糸球体上皮細胞表面, とりわけslit diaphragmaに局在しその分子量はimmunoprecipitationにより, 約51.000であることが判明している. 静注後の局在は経過とともに変化し, IFでは2時間後の線状に近いパターンから3日後には顆粒状に移行する. 現在この局在変化の詳細て免疫電顕レベルでの検索や125Iラベルによる定量的Kineticsの追及がなされつつある. 蛋白尿発現機序解明の貴重な手段となるものと期待される. 3.対応抗原に対する免疫反応の解析:EHS腎症腎よりのeluateを用いたimmunoblotting法により, 抗原分子が固定されつつある. この抗原に対する宿主免疫反応の解析や, 2での蛋白尿惹起MoAb5-1-6認識抗原への他種, 並びに自己免疫反応惹起の試みは現在進行中である.
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