研究課題/領域番号 |
61480141
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 長崎大学 (1987-1988) 国立予防衛生研究所 (1986) |
研究代表者 |
和田 義人 長崎大学熱帯医学研究所, 病害動物学部門, 教授 (60039493)
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研究分担者 |
正野 俊夫 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 殺虫剤室長 (80011922)
冨田 隆史 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 研究員 (20180169)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | イエバエ / 殺虫剤抵抗性 / ピレスロイド / kdr遺伝子 / 性決定機構 |
研究概要 |
イエバエの性決定様式はXY型であるとされていたが、1960年頃から異常な様式が知られるようになり、近年増加の傾向にあるとされているのでその実態を日本全国19地点で交配法により調べた。雄性決定因子MはY染色のほかに5対の常染色体のすべてから見つかり、また複数個のM因子に対し優位性を示す雌性決定因子Fが存在するなど、異常な性決定様式の増加が確認された。1986年東京都第3夢の島と栃木県芳賀町で彩集したイエバエに、各種有機燐剤に対する高い抵抗性が認められ、さらに芳賀町ではkdr遺伝子による高度のピレスロイド剤抵抗性も発達していた。関東地方の11のイエバエの集団についてkdr遺伝子を調べたところ、第3夢の島からは検出されなかったが、群馬県と栃木県の10の集団からは0.2ー1.0の頻度で見つかった。この事実は、kdr遺伝子が日本で広範囲にしかも高頻度で存在していることを示した最初のものである。栃木県芳賀町の2つの畜舎では、1986年10月から2年間にわたり、kdr遺伝子頻度の変化を追求した。頻度の上昇は明らかにピレスロイド剤の使用によるものであり、低下は周辺地域の頻度の低い集団からの移動によるものと推測された。室内で殺虫剤による選抜を行わずにイエバエを継代した実験では、第6代目までkdrの頻度は変化せず、ピレスロイド剤を散布しない環境でのkdr保有個体の適応度の低下は認められなかった。1986年に群馬県と栃木県で採集したイエバエの2つの集団では、異常な性決定因子Mとピレスロイド剤抵抗性遺伝子kdrとの間の連鎖不平衡は検出されなかった。殺虫剤抵抗性の発達を遅延させる方法を理論的に考察し、次の結果を得た。抵抗性遺伝子の頻度が低いときには、殺虫剤に触れたヘテロ接合体のほとんどが死ぬよう十分の量を散布し、また抵抗性機構の異なる2種以上の殺虫剤のモザイク散布などによる感受性個体の残存が有効である。
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