研究概要 |
1.RepA蛋白質の精製:Rts1の複製必須蛋白質RepA(分子量33000, 構成アミノ酸数288)の構造遺伝子repAを, 発現効率の高いベクターpkk223-3に挿入し, 大腸菌JM103を宿主としてIPTGによる誘導でRepAを大量生産する系を確立した. そして, 10lの培養より菌体を得, CMセファデックス, りん酸セルローズ, アフィゲルブルークロマトグラフィによりRepAを精製した. 精製RepAのアミノ酸組成はrepA遺伝子配列より推定される組成値に一致した. 2.RepA蛋白質のDNA結合能:DNaseIフィットプリント法により, 精製RepAがミニRts1-DNAのどの部分に結合するかを調べた. その結果, incI, incIIを構成するくり返し配列部分のほか, repAプロモーターの上流域およびGATCboxのやヽ下流10-bp領域にRepAが強く結合することを確認した. 3.複製開始領域ori(Rts1)の単離:in vivoの実験系で, PBR322にクローン化されたミニRts1のincII領域を含むDNA断片が, 共存するミニRts1プラスミドからtrans供給されるRepAにより複製できるか否かを検証することにより, 最小の複製開始領域を決定した. すなわち, ori(Rts1)は, ミニRts1マップ上(1441〜1194)の248-bp領域で, incIIおよびGATC, DnaA boxを含むことが判った. 4.RepA蛋白質C末端の機能:repA遺伝子の3'末端が18bp欠失したrepAΔCをベクターpFD51に挿入した. 挿入境界領域に存在する制限酵素切断部位を利用することにより, RepAC末端の6コのアミノ酸が失われ, 代りに種々の長さのオリゴペプチドが加わったRepAΔC_6をコードする変異株4コが得られた. これらのRepAΔC_6蛋白質はどれもori(Rts1)を活性化できなかったが, C末端修飾の程度が最も低かったRepAΔC_6-S(6コのアミノ酸が欠失し, 代りに3コが加わった)は, 不和合性機能を保持し, その原因はrepAプロモーター領域に結合することは起因すると推定された.
|