研究概要 |
遅延型致死毒であるA稈赤痢菌のShiga-toxin及びclostridium difficile(CD-ET)のエンテロトキシンの簡易高純度精製法を確立した. 精製毒素のマウスに対する致死作用はShiga-toxinが27.9ngで, CD-ETは25ngであった. これらのうち初年度においてShiga-toxinの動物での稈内細胞が血管系から神経細胞へ栄養を仲介している脳星状膠細胞であることが電子顕微鏡的, 組織病理学的手段によって明確に出来た. 一方即時型致死毒では, 腸炎ビブリオ溶血毒(Vp-TDH)を免疫学的に類似する毒素として, NAGビブリオ, V.minicus, V.hollisaeらが産生するTDHを発見した. これらのTDHを抗Vp-TDH抗体結合カラムにより精製に成功し, その性質を比較した. その結果, 互いに物理化学的, 生物学的に異なることが明らかになった. さらに, Vh-TDHのアミノ酸一次構造の解析から, われわれが既に決定したVp-TDHに比べ165個のアミノ酸残基中, 22残基のアミノ酸置換が起こっていた. しかもVp-TDHに存在するN末端から151番目と161番目のシスティンは置換していなかった. これは2残基間に存在するS-SバンドがTPMの構造上重要であることを示す.
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