研究概要 |
1.グラム陰性菌細胞壁由来のリポ多糖(LPS)(内毒素)はインターファロン(IFN)α/βを誘発するが, γを誘発しない. しかし, BCGで感作されたマウスの脾細胞あるいは腹腔細胞にLPSを作用させるとIFNγが産生される. その産生にはプラスチック付着細胞(マクロファージ)と非線付着細胞(Tリンパ球あるいはNK細胞)の両者が必要であり, しかも, 両者が直接に接触しなければならず, それらの細胞が産生する液性因子(インターロイキン1や2)は特に必要としないことを明らかにした. 2.LPSに不応答であるC3H/HeJマウスをあらかじめBCGで感作しておくと, その脾細胞や腹腔細胞はLPSに応答し, IFNγを産生するようになる. その際にも, 付着細胞と非付着細胞の両者を必要とする. BCG感作と未感作のマウスから, それぞれ付着細胞と非付着細胞とを得て再構築したのでは, IFNγの産生は見られないことから, これらの細胞はいづれもBCGの感作を受けることが必要であることがわかる. また, 付着細胞をPLPで処理しても作用を有することから, 付着細胞は産生細胞ではなく, helper細胞であることが判明した. さらに, 非付着細胞を抗L3T4抗体や抗AsGM1抗体と補体であらかじめ処理した後で, 付着細胞と再構築すると, そのIFNγ産生細胞はT細胞およびNK細胞であることが判明した. さらに蛍光抗体法を用いて, それらが産生細胞であることを確認した. 3.recombinant IFNγをマウスに投与した後で腸炎菌を感染させ, その抗菌効果を調べた. その結果, 10^4u以上を投与すれば, 抗菌効果が認められた. また, 10^2uと微量のLPS(10ng)とを併用すれば著しい抗菌効果が認められ, その効果はChediak-Higashi症候群のモデルであるbeigeマウスにおいても十分に認められた.
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