研究分担者 |
中里 克治 東京都老人総合究所所, 心理精神学部・心理学研究室, 研究員 (50110028)
下仲 順子 東京都老人総合究所所, 心理精神学部・心理学研究室, 主任研究員 (70073004)
前田 大作 東京都老人総合研究所, 社会学部, 部長 (70072965)
芳賀 博 東京都老人総合研究所, 疫学部・第1研究室, 研究員 (00132902)
七田 恵子 東京都老人総合究所所, 看護学研究室, 室長 (80072990)
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研究概要 |
昭和61年に69-71歳の東京都小金井市の在宅老人422名(男197, 女225)を10年間, 医学, 社会学, 心理学領域からなる学際的研究として追跡調査してきた. 老化の自然的過程を観察し, その促進因子および制御因子を明らかにすること, 老年病や障害の成因を見極めることを目的としている. 昭和51〜62年にかけて, 10年目の追跡調査を行うとともに, そのまとめを行った. 対象422名のうち, 10年間に102名が死亡し, その死亡の要因を, 初回のデータにおいて分析した. また, 生存者のうちで, どのような要因をもっていた人々が元気で10年間を経過したか, また障害におちいったのはどのような要因をもっていた人々であるかも分析した. さらに, 市外転出31名, 施設入所13名, 長期不在2名, 拒否12名, 行方不明12名を除く250名に関しては, 初回のまったく同じ調査を施行しえた(家庭訪問をふくめて). これにより, 生存し続けている人々の老化がどのように進んでいるのかを観察しえた. さらに, 昭和51年の対象の5年間の変化と56年の対象の5年間の変化を比較し, 同一年齢の老人の老化の進展が生まれた年によりどのように異なるか(出生コホート差)も観察した. 対象の死亡率は, 初回の成績の血清アルブミンの低値のもの, 握力の弱いもの, ベントンの視覚記銘カテストの劣っているものに高かった. また心電図異常(とくにSTT変化)を有する群の死亡率が高かった. 肥満度は中等度の群の死亡率がもっとも低かった. 老化のマーカーが死亡の予知因子となる. 血清コレステロールと血圧は死亡率に有意な関係を示さなかった. 生存者で10年後, ADLの低下する率は, 高血圧の既住があり, 肥り過ぎており, 社会活動性の低い群に高かった. 血清アルブミンの低下などで新しい時代の老人の老化進展は遅いことが示された.
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