研究概要 |
1.(1)ヒト子宮頚癌由来細胞(HeLaS3)より, 新たにaph耐性細胞をクローニングした. 変異原として, まずエチルメタンスルフォン酸を用いたところ, apho・1μg/mlにて長期間増殖可能なクローンを得たがaph存在下での増殖は不安定でその耐性の原因を検討するのは困難であった. (2)更に紫外線を照射することにより, apho・3μg/mlにて安定に増殖可能な5種のクローンを得た. 細胞周期はHeLaS3に比して約20%あるいは50%延長していた. (3)4種のクローンについてのaph耐性の原因を検討した. ヒドロキシ尿素に対する感受性では, すべて耐性でしかも各々増殖曲線が異なっており, 独立したリボヌクレオチド還元酵素の変異が示唆された. また遺伝子レベルにおける変異・転写活性については現在検討中である. (4)老化モデル細胞としてきわめて有用なクローンを得, 更にpolαについて検討する計画である. 2.(1)コケイン症候群患者由来線維芽細胞(1629SV14)は紫外線感受性であるが, 更にチミジン・aphにも感受性であった. (2)1629SV14細胞の紫外線感受性の原因を調べたところ, dNTPプール及びpolα活性は正常細胞と同様であったが, 一方紫外線照射後のチミジンの取込み, リボヌクレオチド還元酵素の活性に回復を認めなかった. (3)1629SV14細胞はマウス細胞との融合により, aph感受性, 紫外線感受性ともに部分的に回復した. リボヌクレオチド遺伝子の変化を検討したところ, この遺伝子の導入とaph耐性とは相関関係にあることが確認された. (4)コケイン症候群は遺伝子的早老症の1つであり, リボヌクレオチド還元酵素と老化, 更にDNA複製過程と老化との関連が示唆された.
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