研究分担者 |
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部・第3内科, 助手 (90151836)
久保 良一 奈良県立医科大学, 医学部・第3内科, 助手 (20183311)
西村 公男 奈良県立医科大学, 医学部・第3内科, 助手 (20183543)
辻井 正 奈良県立医科大学, 医学部・第3内科, 教授 (30075064)
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研究概要 |
1.経口アジュバントの作用機序に関する経口アジュバント. タウリンはマウス, ヒトにおいてinterleukin-1(IL-1)産生を誘導し, かつマクロファージ依存性のB細胞活性化を誘導しえた. それゆえ, タウリンのアジュバント機序はタウリンによるIL-1産生と感受性の亢進およびB細胞への直接作用によると考えられる. リチウムはT, B細胞のDNA合成を促進しなかったが, B細胞にRNA合成を増大させえた. リチウム誘導のRNA合成がB細胞活性化に強く関与し, アジュバント作用を示すものと考えられる. 次に, パロチッドプロティン(Pr)はT細胞に増殖作用を示さなかったが, マクロファージおよびT細胞非依存性にB細胞の増殖と抗体産生を促進しえた. さらに, PrはIL-1, IL-2, interferon-γ産生を誘導しなかったが, Pr自体がIL-1作用を有していた. これらの結果より, Prのアジュバント作用はPr自体のIL-1作用とPrの直接的なB細胞活性によることが示唆される. 2.経口アジュバントのヒトへの応用. B型肝炎(HB)ワクチン低反応者と考えられる40〜50才の健常男子36人を2群に分け, 第1群(18人)はHBワクチンのみ第2群(18人)はHBワクチン接種前日と当日は1日タウリン12gと炭酸リチウム100mgを経口投与した. 3回接種1カ月後に, 第1群の抗HBs抗体陽性者は38.9%(18名中7名)で, 第2群では66.7%(18名中12名)であり, 経口アジュバントを併用することにより, 抗HBs抗体陽性者が増加した. 第2群での抗HBs抗体陰性者のリンパ球はin vitroでのタウリンによる非特異的抗体産生の誘導を認めなかったことから, タウリンに対して無応答の者にはタウリンのアジュバント効果は認めなかった. 次に, 人工透析患者(16名)でのHBワクチン接種時での経口アジュバントの効果はワクチンのみで50%, ワクチンとアジュバント投与群で66.7%であり, 今後さらに対象者を増して検討して行く予定である.
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