研究課題/領域番号 |
61480185
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
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研究分担者 |
千葉 省三 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50010450)
織田 進 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80035237)
大田 俊行 産業医科大学, 医学部, 講師 (10140930)
山下 優毅 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00028680)
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 助手 (10158967)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | ATL / HTLV-1 / 免疫抑制因子 / HTLV-I / 細胞表面形質 / HTLVー1 / 成人性T細胞性白血病 / インターロイキン 2 / インターロイキン 1 / ATL細胞株 / HLA-DR |
研究概要 |
成人T細胞性白血病(ATL)はHTLV-1が末梢血T細胞由来のCD4抗原陽性細胞を標的細胞として感染し、感染T細胞が腫瘍性増殖をする事により引き起こされる。臨床的特徴の一つとして、著しい免疫不全状態を併発し、重篤な感染症は主要な死因である。今回、ATL患者に於ける免疫不全状態の発現機構に関して検討し、以下の結果を得た。(1)ATL患者血清は正常人末梢血単核球のT細胞マイトゲン誘導増殖反応を抑制した。(2)同様のT細胞増殖反応抑制活性はATL患者及びATL細胞株細胞培養上清にも認められ、この活性は終濃度10^<-2>〜10^<04>まで存在した事より、ATL細胞がT細胞機能を抑制るす極めて強い抑制因子を産生する事が示唆された。(3)ATL細胞由来免疫抑制因子は、正常人B細胞にも直接作用し、B細胞活性化の初期段階を抑制する事により、抗体産生細胞への分化を阻害した。(4)この免疫抑制因子はマクロファージ(単球)の抗原提示能及びIL1産生能は抑制しなかった。(5)この免疫抑制因子は、CD4抗原陽性T細胞数を減弱させると同時に、T細胞のCD3抗原発現を抑制し、T細胞機能低下との関連性が示唆された。(6)HTLV-1キャリアの末梢血T細胞からは、この抑制因子の産生は認められなかった。(7)この免疫抑制因子は、分子量約50,000〜70,000PI約4.2の物質で,又、HTLV-1のウイルス構成蛋白ではない事を認めた。現在、分子生物学的手法により、この因子の同定を進めている。以上より、ATL患者に於いては、ATL細胞が免疫抑制因子を産生し、免疫不全状態の併発をもたらすと同時に、免疫不全状態がATL細胞の腫瘍性増殖、更にはHTLV-1感染T細胞の腫瘍化を誘導するという悪循環を生ずる結果になる事が考えられる。一方、この免疫抑制活性は極めて強力であり、因子の同定により、将来的には免疫抑制剤としての臨床的応用も可能であると考えられる。
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