研究分担者 |
陳 信義 千葉大学, 医学部, 医員
佐藤 慎一 千葉大学, 医学部, 医員
寺林 秀隆 千葉大学, 医学部, 医員
飯田 真司 千葉大学, 医学部, 助手 (20176043)
大西 久仁彦 千葉大学, 医学部, 助手 (20125909)
TERABAYASHI Hidetaka Chiba University
CHIN Nobuyashi Chiba University
田中 秀雄 千葉大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
食道静脈瘤は肝硬変患者の三大死因(肝細胞癌, 食道静脈瘤, 肝不全)に数えられ, その治療法の開発は急務である. 再吐血に対する根本的治療法としては摘脾を含む食道離断が最善のものであるが, 食道静脈瘤を有する約半数の患者は肝予備能が低下している為, 手術に適せず内科的治療法(経皮経肝的食道静脈瘤塞栓術, 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法)がおこなわれているのが現状である. 本研究において私共は食道静脈瘤に対するより良き内科的治療を開発すべく, まず食道静脈瘤を発生する代表的肝疾患, 肝硬変症と特発性門脈圧亢進症の肝, 門脈血行動態を臨床例において検討した. また実験的に犬で人の特発性門脈圧亢進症に類似した肝組織及び臨床病態を示す門脈圧亢進犬を作成し, その肝, 門脈血行動態を検討した. 更に現在, 内科的治療法としておこなわれている経皮経肝的食道静脈瘤塞栓術と内視鏡的食道静脈瘤硬化療法の有効性について対比検討した. 肝硬変症患者, 特発性門脈圧亢進症患者, 門脈圧亢進症犬, いずれにおいてもそれぞれ正常人, 正常犬に比し, 門脈系へ流入血流量が著増していることが明らかとなった. これらの成績は食道静脈瘤の形成に門脈系への流入血流量の増加が関与していることを示唆し, 門脈系への流入血流量を減少させる事が食道静脈瘤の治癒につながる事を示唆する. 経皮経肝的食道静脈瘤塞栓術と内視鏡的食道静脈瘤硬化療法との対比では食道静脈瘤からの再出血に対し, 後者が優位にすぐれた治療法であることを明らかにした.
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