研究概要 |
申請者らは, 研究実施に基づいて研究を行ない, 以下のような成果を得た. (1)初代培養ラット肝細胞を用いて, 20例の劇症肝炎患者血清および血漿のDNA合成促進活性を測定すると, 1例を除いた全例で正常者の数倍〜数十倍のDNA合成促進活性が認められた. DNA合成活性は患者の昏睡度と関連があり, 昏睡度の進行とともに著名な上昇が認められた. (2)血漿交換法により得られた劇症肝炎患者血漿を用いて, 硫安分画, Affi-Gel Blue, heparin-Sepharose, hydroxylapatiteの各クロマトグラフィーによりhHGFを約21万倍に精製した. (3)最終精製標品はSDS-PAGEで分子量約8万前後に数本のバンドを示したが, そのいずれもが染色度に応じた肝細胞増殖活性を有していた. hHGFは還元すると分子量約6万と約3万の二種のバンドに分かれたことから, これがS-S結合してhHGFを形成しているものと考えられる. (4)hHGFのDNA合成促進活性は1ng/mlで認められ, 10ng/mlで最大となりhEGF(human epidermal growth facter)あるいはinsulinよりも強力であった. またhHGFはhEGFやinsulinと相加的あるいは相乗的に働いた. このことはhHGFがhEGFとは異なる新しい増殖因子であることを示唆する. (5)さらに申請者らは最近, 得られた精製hHGFでBALB/Cマウスを免疫し, その脾臓細胞とミエローマ細胞を融合させたモノクローナル抗体を作製することに成功した. 現在モノクロナール抗体を用いて, hHGF産生臓器を検討中である.
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