研究分担者 |
松隈 秀峻 産業医科大学, 医学部・内科, 学内講師 (10140899)
増田 博 産業医科大学, 医学部・内科, 学内講師 (10080590)
森田 翼 産業医科大学, 医学部・内科, 講師 (70131943)
龍田 恵美子 産業医科大学, 医学部・内科, 講師 (60163482)
尾関 恒雄 産業医科大学, 医学部・内科, 助教授 (80004753)
YAMADA Shinji Third Department of Internal Medicine, School of Medicine, UOEH
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研究概要 |
我々は肝硬変や肝癌患者における血清複合糖質としてのα_1-酸性糖蛋(α_1-AG)を単離抽出し, その糖部分の構造変異性について検討し以下の結論を得た. 健常人10例についての免疫平板法(Mancini法)による測定では, α_1-AGは70.9±18.8mg/de, HCC27例では77.8±48.0[LC(肝硬変)15例62.6±30.4, NLC(非肝硬変)12例109.5±62.4]であった. 健常人血清10例についての全糖蛋白(GP)の中のマンノース/ガラクトース比は1.29+0.10, ガラクトサミン/全ヘキソサミン比は5.70±1.53であったが, HCC9例ではそれぞれ1.57±0.25(LC1.60±0.27NLC1.53±0.24), 5.80±1.26(LC6.30±1.41, NLC5.20±0.76)であった. MLC6例では1.38±0.12, 6.20±1.19であった. 次に血清中α_1-AGを単離・抽出し, 健常人5例とHCC5例について, その糖部分の解析を行い構造変異性を究明した. これによれば, 健常人では蛋白量57.0I2.7mg(100%)に対してヘキソース15.1±2.0(26.5%), シアル酸12.0±1.5(210%)フコース0.9±0.1(1.6%), ヘキソサミン8.6±0.7(15.1%)になるに対し, HCCでは蛋白量55.4±7.9(100%)に対して, ヘキソース17.3±1.5(31.2%), シアル酸7.4I0.8(13.4%), フコース0.6±0.1(1.1%), ヘキソサミン8.2±0.8(14.8%)とヘキソースの増加とシアル酸・フコースの減少が認められた. 一方, ガスクロによるα_1-AG糖部分のMaw/Galは健常人6例では0.33±0.05であるのに対し, HCCでは0.52±0.08, ガラクトサミン/全ヘキソサミン比は健常人では0, HCCでは0.04±0.05であった. 結論として, 血清中のα_1-AG糖部分の構造は, HCCにおいては健常人に比し, 一定の蛋白量に対するヘキソースの増加とシアル酸・フコースの減少がみられ, さらにヘキソースにおいてはマンノースに, ヘキソサミンにおいてはガラクトサミンにそれぞれ優位の構造変異性が存在することが確認された.
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