研究分担者 |
下門 顕太郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30192115)
岸 幸夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70186211)
西山 敬二 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00133108)
矢島 途好 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40134671)
沼野 藤江 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80092427)
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研究概要 |
近年動脈硬化の成因として血管傷害とそれにつづく血小板, (plt)及びマクロファージ(Mφ)の血管壁内浸潤の結果生ずる生態反応の重要性が注目を浴びている. 著者は数年来この内膜傷害(endotheliopathy Numano)の病態生理の解明を追及し, その変化を組織学的, 酸素組織学的, ならびに生化学的に追及して来た. 昨年度, 及び今年度はin vivo in vitroにて培養内皮細胞, 平滑筋細胞を用い, pltの及ぼす内皮細胞の病態を主としてcyclic nucleotidesの変化, 組織学的手法にて検討を加えた. その結果傷害された内皮細胞ではcyclic AMPの低下, 種々酵素の逸脱をたしかめ, 活性化した血小板がその量, 時間に比例した強く傷害することを観察し, in vivoに於る血管壁の変化の観察をも加え, atherogenesisに於る内皮傷害の重要性を再確認した. 一方著者らはMφ及び平滑筋細胞に対するモノクローナル抗体の作製に成功, これを用いて血管傷害後に続く動脈硬化病変の進行過程を追及した. その結果初期病変に於る泡沫細胞集魂はMφ由来の細胞塊であることを確認した. 実際ヒト動脈硬化巣を本抗体を使って追及してみると従来平滑細胞由来と思っていたものの内かなりのものがMφ由来であることを知りMφの動脈硬化発生進展に果たす役割の重要性を再認識した. 一方バイパスグラフトに用いた静脈に生ずる硬化巣は動脈とはちがってほとんどが平滑筋細胞よりなっている. どうしてこういう差がでるのかウサギ大腿動脈に大腿静脈を自家移植して追及した. その結果動脈壁と同じくMφは壁内に侵入して脂質を貧食するが, 疎な内弾性板とうすい中膜層のため, かかるMφは壁内を通って速やかに壁外に去ってしまう結果静脈グラフトは平滑筋を中心とした内膜肥厚像になってしまうものと考えられた. 即ち, 病変は同じようにすすむが動, 静脈の構造の差がかかる特徴的な病変と形成するに至るのである.
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