研究概要 |
人工膜にハプテン結合表皮細胞由来分子を組み込んだリポソームを作製し接触過敏症のTリンパ球刺激を行った. Tリンパ球刺激を行うためには, 表皮細胞由来のハプテン結合分子とIa抗原が共にリポソームに組み込まれる必要があり, そのいずれかが欠除したリポソームでは接触過敏症のTリンパ球を刺激しえなかった. 続いて, 表皮細胞中ケラチノサイトがγ-インターフェロンの作用によってIa抗原を発現することに注目し, ケラチノサイトが発現するIa抗原がランゲルハンス細胞, マクロファージ等のIa抗原と同様の作用を持つか否かを検討した. リポソームにハプテン結合分子とランゲルハンス細胞のIa抗原, マクロファージのIa抗原あるいはケラチノサイトのIa抗原をそれぞれ組み込みTリンパ球株の刺激を行った. その結果, リポソームに組み込まれたケラチノサイトのIa抗原は, ランゲルハンス細胞, マクロファージのそれと同様の働きを示し, ハプテン結合分子存在下でTリンパ球を刺激した. リポソームが接触過敏症のTリンパ球を刺激する様子をさらに詳細に検討するため, 接触過敏症のTリンパ球の樹立を試みた. 約30種のTリンパ球株が樹立出来たが, そのうち1株(3-3株)のみが接触過敏症を受動転稼しえた. そこで, 3-3-株Tリンパ球とリポソームの反応を観察した. 3-3株はマクロファージ存在下でリポソームの刺激をうけ増殖反応を示したが, マクロファージのかわりにインターロイキン1あるいはEpidermal trymocgte aetivating facter(ETAF)を添加しても増殖反応はみられなかった. また, ETAFを添加した上にホルボールエステル(PMA)をも添加したが, 3-3株細胞の増殖はみられなかった. 3-3株におけるリポソームの反応について今後さらに検討を加える予定である.
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