研究概要 |
代謝性骨疾患の骨・カルシウム代謝における核医学的手法の開発を目的とし, 骨シンチグラフィ, 骨ミネラル量測定, 血液生化学検査, 臓器シンチグラフィを長期透析中の患者93例について検索し, 腎性骨異栄養症の病態生理の解明を試みた. 腎性骨異栄養症の骨変化は多彩であり, 局在性を有するため, 標準化した骨シンチグラムによってA, C, D, Fの4型に分類した. F型は頭蓋及び全身骨へのRI集積が最も高く, A型は最も低下し, D型は骨軟化症に類似し, C型はほぼ正常であった. これらについての生化学的パラメーターは, D型は血中のリンが低く, F型はアルカリフォスファターゼが非常な高値を示し, PTHは, F型はN-assay, C-assay, M-assayのいずれにおいても高値を示し, A型は最も低値であった. シンチグラム上の病型と骨組織学的所見との対応は興味深いものであるが, 現在引き続き検索中である. 腎性骨異栄養症は骨減少, 骨硬化を示すが, 骨によってその状態は異なる. 単一光子吸収法による前腕橈骨皮質骨量は透析期間の延長に従って減少したが, 二光子吸収法による腰椎の骨塩量は透析歴10年以内にはむしろ著しい増加を示すものも認められたが, 10年以降にその多くは減少をしめした. 二次性副甲状腺機能亢進症のものは, 皮質骨量は例外なく減少したが, 腰椎海綿骨量は, 重症例にのみ減少が認められた. 過形成を示した副甲状腺の局在診断には^<201>Tlシンチグラフィが有用であった. 腎性骨異栄養症の病因は複雑であり, またその病態も多彩である. 従ってそれぞれの病態に基づく治療法を早急に確立する必要があり, これは今後に残された課題である.
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