研究概要 |
研究者が見出したA23187凝集異常を主徴とするトロンボキサン不応症(本症)の病態解析のためトロンビン, A23187, トロンボキサンアナログSTA_2に対する細胞内Caイオン([Ca^<++>]i)動員を, Aequorin法を用いて検討した. また他型血小板機能異常症も検討した. 1.本症ではトロンビンによる[Ca^<++>]i動員反応は正常, A23187, STA_2による反応は一部障害されていたが, 凝集が障害されている高濃度では正常で, したがって本症の放出機構の本態は今回の方法で調べられる[Ca^<++>]i動員の全体の障害とは直接関係しないと考えられた. しかし細胞外Ca^<++>添加, Adrenalin potentiationで[Ca^<++>]i動員は凝集とともに増強される場合があることなどより, 本症では, 凝集, 放出に関する一部の[Ca^<++>]i動員が障害されていると推定された. しかし細胞内Ca動員を抑制するといわれるTMB-8処理とは異なることが知られた. 2.Bernard-Soulier症候群ではThrombinによる[Ca^<++>]i動員の遅延, Cyclo-oxygenase欠乏症でA23187による[Ca^<++>]i動員の障害と, これまで知られていない低濃度アラキドン酸によるPGH_2, Txへの転換を欠く[Ca^<++>]i動員をみとめ, Hermansky-Pudlak症候群, 他の血小板放出機構異常症でA23187, STA_2による軽度の[Ca^<++>]i動員障害をみとめた. 〔結論〕Tx不応性を中心とした放出機構異常症において[Ca^+]i動員の部分障害がみとめられた。それと放出障害の本態とは直結しないと考えられた。今後各種アゴニスト別の[Ca<#>]i源および放出に至るル-トの解明によって本態解析の可能性が展けると期待される。他型血小板機能異常症で各種の軽度障害をみとめた。
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