研究課題/領域番号 |
61480260
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
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研究分担者 |
麻生 範雄 熊本大学, 医学部, 助手 (50175171)
服部 俊夫 熊本大学, 医学部, 講師 (30172935)
真田 功 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20154122)
河野 文夫 熊本大学, 医学部, 講師 (20117344)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 白血病 / 悪性リンパ腫 / 成人T細胞白血病 / 免疫グロブリン遺伝子 / T細胞受容体遺伝子 / インターロイキン1 / HTLV-I / リンパ腫 / T細胞受容体 -CD3複合体 / HTLV-1 / 発癌機構 / 細胞分化増殖因子 |
研究概要 |
造血器腫瘍細胞における免疫グロブリン(Ig)、T細胞受容体(TCR)および液性細胞増殖因子の遺伝子の解析から以下の結果が得られた。 1.表面形質から細胞系列と単クローン性を決定し得ないリンパ腫細胞で8IgあるいはTCR遺伝子再構成を全例認め、遺伝子形質の検索の臨床上の有用性を明らかにした。 2.TCRr鎖の再構成はT細胞のみならず、未熟B細胞白血病でも高率におこり、成熟B細胞では認めなかった。両遺伝子形質を有するB細胞は分化成熟し得ないことが示唆された。さらにTCRr鎖のみ再構成したリンパ腫例を見い出し、T細胞亜群の存在が示唆された。 3.レトロウイルス(HTLV-I)により発症する成人T細胞白血病(ATL)例でもTCRrや、r鎖は全例再構成を認めた。ATL細胞TCRに関連したCA3分子とTCRの抗原変調を認めるが、TCR遺伝子再構成のパターンおよび可変部の塩基配列に一定の構造はなく、同一の抗原を認識しているわけではなかった。TCRの再構成とHTLV-Iの組み込みが同一なATL腫瘍細胞由来細胞様では他のHTLV-I感染細胞様と比較し、新鮮細胞と同様にTCR-CD3複合体の抗原低下を認めるが、培養とともにさらにその抗原量は低下した。すなわち自己抗原をTCR-CD3複合体が認識し、増殖する可能性が示唆された。 4.骨髄性白血病症例でインターロイキン1(IL-1)のmRNAを発現し、培養上清中にIL-i活性を認め、IL-1で増殖する症例を見い出した。IL-1による自律増殖と考えられた。このように造血器腫瘍細胞における遺伝子解析はその診断、リンパ球分化、腫瘍細胞増殖の検索に有用な手段であり、今後は新たな細胞増殖因子、染色体異常あるいは癌遺伝子の解析をすすめ、細胞増殖ひいては発癌機構の解明を試みる。
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