研究課題/領域番号 |
61480279
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
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研究分担者 |
野手 雅幸 福井医科大学, 医学部, 助手 (60189412)
小島 靖彦 福井医科大学, 医学部, 講師 (00135071)
福島 弥 福井医科大学, 医学部, 助手 (10199218)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 膵ラ島 / 凍結保存 / 急速冷却速度 / ラ島機能 / ラ島再生能 / 移植 / 新生児膵 / 再生能 / 急速凍結保存 / インスリン分泌能 / インスリン含有量 / DNA複製能 / ラ島移植 / 膵ラ氏島 / 膵ラ氏島内分泌能 / 膵ラ氏島移植 |
研究概要 |
本研究は、比較的急速な冷却速度(25℃/分)を用いたラ島の凍結保存法の確立が目的であり、凍結保存ラ島のviabilityについて移植効果、再生能を含め検討した。その結果、インスリン分泌能では従来の緩徐な冷却速度で凍結保存されたラ島と、ほぼ有意差のない状態で保存が可能であった。またラ島の組織学的検索でも凍結保存ラ島には核配列の乱れもなく、対照とした非凍結ラ島と同様の組織像を示し良好に保存されたと考えられた。しかし、生物学的機能としてはほぼ十分に保存されているものの、ラ島のインスリンおよびDNA含有量の結果では、対照とした非凍結ラ島のそれと比較すると約30%の減少が認められ、凍結一解凍過程でラ島細胞は若干の障害(細胞数の減少)を被ることが明らかとなった。この細胞障害は、ラ島細胞内外での氷晶形成により惹起されたと推察されたが、ラ島の凍結保存においては完全には回避できない問題点の一つであり、如何に細胞障害を最小限にとどめるかは、凍結保存を行う上での今後の重要なポイントであろう。凍結保存ラ島の移植実験も本研究で行われたが、凍結保存ラ島1000個の移植で糖尿病ハムスターの血糖値は、移植後直ちに正常に回復し腎摘出するまで正常値を維持した(非凍結ラ島移植では約500個前後で移植効果がみられる)。これまでラ島のviabilityに関しては、インスリンの分泌能のみで評価されていたが、本実験では^3H-thymidineを用いオートラジオグラフィー法を応用して、凍結保存ラ島細胞の再生能についても検索した。凍結保存されたラ島細胞の再生能はin vitroでは2.04±0.21、in vivoでは1.38±0.24であり、対照群と同等の値であった。これにより凍結保存されたラ島も移植後に再生、増殖する可能性があり得ると思われた。以上、本研究によって分離されたラ島は比較的急速な冷却速度(25℃/分)を用いた凍結保存が可能であり、移植後に十分にその生物学的機能を発揮しうると結論した。
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