研究課題/領域番号 |
61480286
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 恵一 九州大学, 医学部, 教授 (00038655)
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研究分担者 |
松尾 進 九州大学, 医学部, 助手 (00167644)
中川原 章 九州大学, 医学部, 講師 (50117181)
矢加部 茂 九州大学, 医学部, 助手 (00136483)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 小児肝移植 / 部分肝移植 / 漸進的門脈遮断 / 小児部分肝移植 |
研究概要 |
小児部分肝移植が目的であったが、初年度(昭和61年度)はまず自家移植(犬7回)、同所性全肝移植32回(犬28回、豚4回)、異所性全肝移植10回(犬10回)を行ったが、いずれも3日以上の生存は得られなかった。異所性肝移植では肝移植に対する十分な門脈血流が得られなかったのが原因であり、全肝移植ではポンプがなかったために体外バイパスがうまくいかないのが原因であった。62年度は異所性部分肝移植を3回行ったが、異所性では十分な門脈血流を得られなかった。そこでそれ以後は同所性部分肝移植に方針を変更し、初めて1週間以上の生存犬を得ることができるようになった。同所性部分肝移植は63年度も含めて犬で44回行ったが、アメロイドリングを門脈左枝に装着して、漸進的に移植肝への門脈血流を増加させた群は18頭が24時間以上生存し、うち11頭は5日以上生存した。10日以上の生存は6頭に得られ、16日および19日生存した犬の移植肝組織は拒絶反応の徴候はなく、肝小葉もよく保たれていた。これに対し部分肝移植後に一期的に門脈右枝を結紮した群(11頭)では、5日以上の生存は3頭で最長12日であった。12日生存した犬の移植肝は中心静脈周囲の肝細胞に空胞変性を認めた。また残存した宿主肝の組織では、広範に肝細胞の空胞変性、壊死を認めた。以上の実験結果から、肝右葉を残し、アメロイドリングによって残存宿主肝の門脈血流を徐々に遮断する方法は、体外バイパスを必要とせず安全に部分肝移植を行える方法と思われた。またこの方法を用いれば、いわゆるprimary nonfunction liverの場合には、アメロイドリングを除去して次のドナーが現われるまで待機することも可能と思われる。本実験で10日以上生存した犬の死因は消化管出血、肺出血、胆汁性腹膜炎、門脈および肝動脈血栓であり、術後の管理をもっとうまく行えばさらに長期の生存も可能と思われる。
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